平面プロレス レイテ戦記

宮崎 和之

昨年に続いて、今年もフィリピン共和国、セブ島経由のレイテ島に行ってきた。期間は2018年8月30日(木)から9月5日(水)までの一週間。今回も報告書を書き上げたが、筆者の報告書はA4で24頁と大部なため、またテーマごとに纏めなおしての連載とさせて頂きます。今回は娘の縁のことを取り上げます。娘が感じたであろうビサヤの風を皆さんにもお伝えできると思います。

一週間の滞在なんてあっという間だ。今回はブキチも筆者も子供を連れてきた。吉郎君は成人してるが、筆者は娘が幼いうちに連れてきてあげたかった。体験させてあげたかった。日々私たちが暮らしてる地域だけじゃなくて、世界には、全然話す言葉も違えば、生活習慣や背負ってる歴史が違う人たちが生活してる国があるんだよって。連れてきた結果、フィリピンの事が嫌いになっても良いと思ってた。フィリピンに着いて2、3日で「お家に帰りたーい」って言い出すかと思ったら、娘は娘でセブやレイテを超エンジョイ!! ジーンさんの姪っ子姉妹の下の子ステラStellaちゃんが娘と同い年。お互い言葉も分からないのにニコニコ笑いながら仲良く遊んでる。これを見た筆者は、つくづく娘を連れてきて良かったと思いました。言葉や宗教、習慣や考え方が違っていたって友達になれるんだ。仲良くできるんだ。でもまさか婚約者まで見つけるとは思ってもなかったけど。日本に帰ってきても縁のやつは言ってます。ジャイールと結婚するって。もう親父の出る幕はない。

 日本に帰る時に娘に訊いてみた。「縁ちゃん、フィリピンどうだった?」 そしたら娘が筆者に耳を貸せって言う。あいつときたら、恐れ入ったことに「縁ちゃんね、ずーっとお母ちゃんのこと忘れてた」だって。一応母親に気を使って小声で筆者に感想を漏らしたんだね。帰国する日の朝には「明日の明日の、その次の明日くらいまでフィリピンにいたいよー」って泣き出しちゃった。そんなにフィリピン良かったの?

 そもそも娘がフィリピンに来たいって思い始めたのは、去年筆者がフィリピンから帰国して、写真を見せながら土産話をしたから。特にカラバオ(水牛)の背中に乗せてもらったのが羨ましくて仕方なかったんだって。筆者と一緒に、ずーっと一年間、フィリピン行きたいって言い続けてた。今回の渡比、羽黒高校の生徒さんたち(今回は山形県鶴岡市から10名が参加。その内、今年の夏の甲子園に山形県代表で出場した羽黒高校から、引率の小松先生、現役高校生男子2名、女子5名、ロータリークラブの方2名で10名。このグループを鶴岡チームと言い、私たちはアーティストチームと銘打たれ、代表竹見さんを筆頭に、水牛家族の難波さん、平面プロレスから新藤ブキチ、筆者宮崎和之、ブキチさんの長男新藤吉郎、筆者の愛娘宮崎縁の6名が参戦、総勢16名での大所帯の旅だった)、もカラバオに乗れるかな?って楽しみにしてたらしいんだけど、ちょうど滞在中、カラバオちゃんたちはみーんな妊娠してて乗ることは叶わなかった。カラバオたちは母屋からちょっと離れたカラバオハウスで飼育されてて、朝になると農場の敷地のあちこちに話される。草わらを食べさせなきゃいけないからね。あちらこちらで飯食って、糞を出す。糞がまた植物の肥料になって、重たいカラバオが歩くことで地面が混ぜられて、更にまた土壌が豊かになる。水牛家族農場は豊かな自然環境に則した農場システムが確立されてる。

リボンガオに着いてから何頭かは母屋近くまでカラバオちゃんも出張ってきてくれて、羽黒高校の生徒さんたちも目にはできたけど、妊婦さんには無理させられない。でも娘は持ってるんですかね? 鶴岡チームがタクロバンに出かけた後のこと。また一頭のカラバオちゃんが母屋近くにやってきた。聞けばまだ若い雄のカラバオで子供なら問題なく乗れるって。だから今回の渡比でカラバオに乗れたのって娘だけだった。

今回の渡比もとても素晴らしい体験で、娘も帰国後一皮剥けたのか、ちょっとたくましくなっていました。竹見さんの31年に及ぶ地道な活動に感謝と共に敬意を捧げます。難波さん、相棒のブキチさん、吉郎君、鶴岡チームの皆さん。皆さんと一緒だったから、今回のツアーも何倍も何倍も楽しいものになったんだと思います。そしてリボンガオの皆さん、一緒に遊んだ子供たち、本当にありがとう。ロペス一家の皆さんには感謝してもしきれません。ビサヤの海神にも感謝を捧げます。

Carabao Family

水牛家族:フィリピン レイテ島の農村の自立を支援するNGOです。

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